訪問診療と往診は、どちらも医師が患者の自宅に訪れる医療サービスですが、その目的や実施の形態には違いがあります。訪問診療は、計画的かつ継続的に医師が患者の自宅を訪れ、診察や治療を行う医療サービスのことです。主に高齢者や障がいを持っている方、自力での通院が困難な方を対象にしています。医師が事前に立てた診療計画に基づいて、患者の健康状態の管理をサポートすることが目的です。もちろん、定期的な健康チェックや慢性的な病気の管理なども含まれます。そのため、訪問する日程や内容はあらかじめ決められており、患者との継続的な関係を築くことで病状の変化にも柔軟に対応できるのが特徴です。
一方、往診は急な病状の悪化や緊急を要する症状が現れた場合に、医師が依頼を受けて患者の自宅を訪れて診察を行います。たとえば、急な発熱や痛み、体調の急な変化などで医療機関に行くことが難しい患者に対して、その都度必要に応じて医師が訪れる形です。往診は緊急性が高く、その時々の状況に応じて医師が対応するため、訪問診療のように計画的なものではありません。往診は一時的な救急対応としての役割が大きく、訪問診療とは異なり継続的な医療管理の提供を目的としていないのが実態です。訪問診療と往診は、それぞれの特性に応じて適切な使い分けが求められます。患者のニーズや健康状態に応じて、これらのサービスをうまく利用するとより質の高い在宅医療の実現が可能です。